リアルのりある。〜成年後見人制度が裏目に〜 『家族の生活費が止められた!』2021 10 28

リアルのりある。〜成年後見人制度が裏目に〜 『家族の生活費が止められた!』

日付:21年10月28日 木曜日カテゴリ: スタッフブログ

こんにちは!リアルサービスの広報担当です。

毎月最終週のブログでは、「リアルのりある。」として、相続に関して実際に起こったトラブルをご紹介しています。

本日の内容は、親子揃って読んでいただきたい重要なお話です!

 

財産管理をしていたのは父一人。父が倒れて慌てた家族は……?

Q.タイトルでドキッとしたのですが、「家族の生活費が止められた」ってどういうことですか?

【堤】今回はかなりシビアな実例になるんですが……。お父様が企業の上役で、十分にゆとりを持って暮らせるくらいの収入があったご家庭の話です。離れて暮らしているお子さまはひとり親として子育てを頑張っていて、ご両親は定期的に生活費をサポートして応援していたと聞いています。

 

Q.どうして急に状況が変わったのでしょう?

【堤】お父様がご病気で突然倒れたんです。その後、意思疎通ができない状態が長く続いてしまって。不動産経営もされていたお父さまが全ての金銭管理をなさっていたので、ご家族が慌てて成年後見人をつけたんですね。そうしたら、後見人がお父さまの口座から他の家族がお金を引き出せないように、ストップをかけてしてしまったんです。

 

Q.え!どうしてそんなことになるんですか?

【堤】成年後見人は、あくまで「本人のお金を守る」役割を持つ人だからです。仮に子どものため、孫のためであっても、この場合、お父さま名義の口座からお父さま以外の人がお金を引き出すのは違法行為になってしまいます。

 

Q.しかしそれでは、家族は生活費にも困ることになるんじゃないですか?

【堤】そうなんです。今回はお母さまだけでなく、離れて暮らしているお子さまの生活まで苦しくなってしまいました。結局は、後見人申請をお母さまが取り下げて、なんとか元の生活に戻すことができたようです。

 

「もしも」のときのために、今からできる対策がある

 

Q.お母さまがすぐに判断されたのが良かったですね。

【堤】もしお母さまが認知症などを患っていたら、申請の取り下げも難しくなりますから注意が必要です。ただ、今回のやり方は解決策としてはギリギリですね。お父さまの意識が回復しない限り、不動産や銀行口座などの財産の名義は動かせないままでやりくりしないとなりませんから。

 

Q.もし意識が回復しなかったら?

【堤】亡くなるまで、財産に関しては何も動かせないです。生前贈与もできません。お母さまが長くお元気でいてくださることを祈るばかりです。実は日本全国でこのようなケースが多発していて、それが問題になったりしています。親のことが大好きなお子さまでも、いつしか親の死を願わずにはいられないようになってしまう………。こんな辛いことはありません。

 

Q.何かできることはないのでしょうか?

【堤】とにかく親が元気なうちに、財産の管理を任せる人を指定したり、整理したりしておくことですね。将来子どもに渡そうと思っている財産を生前贈与しておくのも良い方法です。子ども名義の通帳を作って、税金がかからない範囲で毎年少しずつ入金していくというやり方もあります。1年間に110万円までなら贈与税はかかりませんから。他にも、民事信託など元気なうちにできる対策はいろいろあります。

 

Q.対策があるのは嬉しいですが、どれも知識がないと難しそうですね。

【堤】そこがネックで、皆さん先送りにしてしまっていますね。ことが起こってからでは間に合わないときもありますから、親御さんには「ご自身が元気なうちに、できることから始めましょう」とお声かけすることもあります。

財産の分割や贈与は、知らないと損することがたくさんあります。もちろん、親御さんご自身の生活をしっかり軌道に乗せたうえでのアドバイスをいたしますので、安心してご相談いただきたいですね。

 

Q.何か困ってからの相談ではなく、相続に関しては「元気なうちに相談しておく」ことが大切なんですね。

【堤】そうです。頭と体が元気なら問題なく解決するケースが本当に多いんですよ。財産の大きい小さいに関係なく、「子どもにちゃんと渡したい」「自分に何かあった後のパートナーの暮らしを守りたい」と思ったら、今すぐにしておくべきこと、できることを、知っておいていただきたいと思います!